The Early Lafferty II


1990年にUnited Mithologies Pressより刊行





 '90, ISBN: 0-921322-14-3(trade)/15-1(signed), title page illustration: R. Ward Shipman

 '90に発行された限定300部(100部サインつき)の小冊子。'60のSFデビュー作"氷河来たる"を含む'59-'60にかけて執筆された初期作品集。編者によれば、作品の出来よりもレア度を眼目に編んだとのこと。SF、マーク・トウェーン風の少年もの、ホラー、不条理幻想もの、ミステリ作品等、バラエティに富んだ内容だが、一貫して感じられるテイストから、ラファティは最初からラファティだったってことがよく判る。
 冒頭に"In His Voice"と題したDarrell Schweitzerの序文があり、マーク・トウェーンとトマス・ピンチョンが合作すればラファティのシミュラクラができるかもって。
 なお、ラファティのデビュー作はThe Original Science Fiction Stories, '60/1掲載の"氷河来たる"と紹介されることが多い("子供たちの午後"や"どろぼう熊の惑星"解説など)が、リスト(An R. A. Lafferty Checklist, '91版など)でみるとNew Mexico Quarterly Review, '59/spring掲載の"The Wagons"が先に発表されている。本作品集の編者注に、「"氷河来たる"は、ラファティの最初の"サイエンス・フィクション"小説とみなしていいだろう。"The Wagons"は先行する唯一の出版された作品だが、サイエンス・フィクションではないから」というコメントがあり、ラファティの"SF"デビュー作は"氷河来たる"という記載の仕方が無難な線と思われる。(The Encyclopedia of Science Fiction. 2nd. ed.では、「'60年に最初のSF"氷河 来たる"を発表した」と記載され、SFM, '94/10掲載のロン・ウルフによるインタビュウでも、「ラファティ としては印刷にまわった最初の短編SFである」との記載がある。)また、"子供たちの午後"の解説で、「最初に短編を雑誌に売ったのは(中略)氷河来たる」との記載があるが、同書の作品リストには"The Wagons"が抜け落ちており、おそらく解説の執筆時には存在が確認されていなかったのだろうと推察される。

収録作品:
 Day of the Glacier(氷河来たる)
 Almost Perfect(ほとんど完全殺人)
 Ghost in the Corn Crib (review)
 Maleficient Morning (review)
 Beautiful Dreamer (review)
 McGonical's Worm (review)

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