ラファティ作品には、
結構、食べ物の描写が出てきます。
レシピを含めて抜き出してみましょう。
なんか、ゲテものばっかりって気もしますが...。
(実際に作ってみて美味しかったら、ご一報を。)
マザー・マデロスの夜明けのチリ・パウダー(今年の新人)
材料:Prusopis Fuliflora(メスキートの実)、Apion Sayi(トウモロコシにつくゾウムシ)、Helleborus Foetidus(クリスマス・ローズのすりつぶした根茎)、男性ホルモン、Lophophora Williamsii(ペヨーテ・サボテンの芽)、Psilocybe Mexicana(シビレタケ)、Bufotenine(ヒキガエルの皮とバナナの皮から作る)、ニトログリセリン、卵胞ホルモン、などなど。ハンミョウは最近は入れてない。そして、"知恵の根"と"力の根"(これらは暗号名)。
全米百か所のぐうたらジャンクフード・スーパー・チェーンで食べられる。人間を利口にし、強くする効能がある。この夜明けのチリ・パウダーの一番の特徴は、チリ・パウダーが入ってないこと。上記の怪しげなレシピには当然ながら公安の手が入って販売禁止となった。
特製カクテルとランチ(Mr. Hamadryad)
その壱:Third Cataract Club:スーダン北部のDongolaにある。
特製カクテル"Stony Giant":巨大なゴブレットに椰子酒を満たし、ご当地の塩っ辛い岩のかけらを振りかける。コウノトリの卵を殻ごと砕いて浮かべ、アラディンの胡麻を加えたらできあがり。
ランチ:乳飲み仔山羊の胃袋。ミルクでいっぱいに膨らんでる。
その弐:Sun-Deck Club:オクラホマにある。
特製カクテル"Ring-tailed Rouser":1クウォートの果物瓶に無色のウイスキーを満たし、近郊のアラバスター・ヒルから取れた石膏のかけらを振りかける。エンビタイランチョウの卵を殻ごと砕いて浮かべ、クサキビの種を加えたらできあがり。
ランチ:乳飲み仔牛の胃袋。ミルクでいっぱいに膨らんでる。
その参:Drill's Marine Bar:イースター島のRapa Nuiにある。
特製カクテル"Final Catastrophe":大きな木製の器に緑色した未だ発酵中の椰子酒を満たし、鮫皮粉の胡椒を振りかける。豆莢につく蛆を混ぜて活き活きとさせ、鵜の卵を殻ごと砕いて浮かべたらできあがり。
ランチ:乳飲み仔豚の胃袋。ミルクでいっぱいに膨らんでる。
特製カクテルとランチ(とどろき平)
とどろき平にあるシマロン・ホテルの食堂で供される。
特製カクテル"緑蛇の鼻嵐(Green Snake Snorter)":緑色した粘土のジョッキに満たされた、強い川のにおいがする酒。チョック・ビールのように適度のアルコール分があり、ミドリヘビ(実はそぞろ歩きにでかけたナマズの精霊)が一匹ずつ入っている。
ランチ:大きな粘土の深鉢に山盛りの魚卵。ウィリー・マッギリーによれば、ちょっぴり混じった川に流れこむ下水の風味がピリッとした隠し味とのこと。
ヒドラの脳ミソ料理(パストマスター)
取れたてのヒドラの脳ミソを泥の玉に詰め、油のよくのった蔓の燃えさかる炎にくべる。真っ赤に熱された泥の玉はやがてナトリウムの焔のようにまばゆく光り、このまま一時間焼きいぶり続けると勢いよく爆発してあたりには硫黄の匂いが立ちこめる。塩と硫黄が仕込まれた類い稀なる妙味で、悪魔たるヒドラの脳ミソを食うことは悪魔を制する力を得ることとなるのだ。
山の上クラブでの晩餐(太古の殻にくるまれて)
地上の炭素汚染が極限まで進み、蒸発した莫大な海水が地上20マイルの高さで全世界を覆う雲の天蓋となった世界。雨も風もなく湿った温かい環境では、体調一フィートものトカゲ類が岩の住み家から這い出してきて、ガツガツ食っては育ち、ガツガツ食っては育ち、ガツガツ食っては育った。百年に一回開催される山の上クラブでの晩餐のメイン・ディッシュはこの新トカゲ類(neo-saurians)のステーキ。お後はクルミとワインで楽しくご歓談を。
世界都市での食事(意志と壁紙としての世界)
世界都市では総ての食事は無料である。クイックランチ・スタンドでは海藻とプランクトンが手軽に食べられ、好みで特殊なタンパク質のスプレーによる風味つけをしてくれる。断崖団地のあずまやではまがいトウモロコシと海草で作ったコーン・ドッグがお勧め。ごたまぜ会館での結婚式のご馳走は魚の血清から作ったおいしいコニャックと、藻のベースに古代人のこまぎれを混ぜた煮込み肉。ハンバーガー・スタンドでは古代人の挽き肉とユリ根のパンで作った、ガーリックの香り高いハンバーガーをどうぞ。
草の日々のごちそう(草の日々、藁の日々)
犬の焼き肉(肩肉と肋肉)をメインに、揚げパンにトウモロコシとカボチャ。巨大なかめにはいったチョック・ビールはひょうたん型の柄杓でふるまわれる。羚羊踊りに惹かれて群れ集まってきた羚羊たちは屠殺され、ペカンとヒッコリーの木の灰を薬味にきかせた焼き肉を肴に大宴会だ。
藁の日々のごちそう(草の日々、藁の日々)
ノースパラゴン・ブレックファスト・クラブの特製料理はツクシガモのドラゴン・ソースかけ。おいしく、こくがあり、汁気にあふれた最高級の鴨肉に、はりさけたフルーツと砕かれたナッツと胡椒とりんご酒と聖油とトナカイのバターをあわせたドラゴン・ソースの取り合わせは絶品だ。
調査隊のボーナス食(どろぼう熊の惑星)
新しい惑星を訪れた調査隊が、万事を掌握した後にありつけるボーナス食。十センチ厚のアフリカ水牛のステーキにミッドランド産のマッシュルーム、カミロイ産カランツとアストローブ産リンゴ。エルトン産のウナギにラック・ワールドのライ麦パン。ギャラクシー印の山羊バターとレイン・マウンテン産のコーヒー、ラムボート産の果実酒にガニメデ産の葉巻。せっかくのこうしたご馳走の楽しみも、どろぼう熊たちに謎めいた手口で盗まれちゃったんだけどね。
ケルノッホ・フィハール城の晩餐(公明にして正大)
アイルランドにあるケルノッホ・フィハール城のチェッカーボード大広間で、たいまつの明かりに照らされて供されるディナーは、しゃも(Gamecock)、後脚で立った牡羊(Rampant Ram)、狂暴な鱒(Truculent Trout)、突き刺された牡牛(Gored Ox)、若い牝の子馬(Young Foal of Horse)などなど、素晴らしい七品の料理に七種類のブランデーがついてくる。席のナプキンの上には七つのかぎタバコの小山が。天国のご馳走のおさらいと評されるこうしたディナーもいいけれど、総てにカタがついた後に二人で食べる、血抜きして串焼きにしたあつあつの雄鳥とスパニッシュ・シェリーの夜食も心惹かれるものだ。
フィリップス・スクリュー・ドライバー(イースターワインに到着)
ニューオリンズで開催されたネビュラ賞パーティー前夜祭でのこと、エピクトの分身が冗談で注文して、ラファティに押しつけたべらぼうなカクテルがフィリップス・スクリュー・ドライバー(十字ねじまわしの別名)だ。レシピは、ウォッカ、オレンジ・ジュースに炭化マグネシウムのミルク。
ヴァレリーのアウト・ドア料理(イースターワインに到着)
野生の兎を捕まえて手際よく肉と骨に切り分け、剥ぎとった皮に切り刻んだ肉片と小川の水を満たし、焚火にくべて煮たてる。湯がすっかり肉汁に変わり、水気のへった皮が燃えだしてこぼれ落ちた肉片を熱い灰ごと食らい、最後に兎の頭蓋にわずかばかしとっておいた血を呑みほす。ヴァレリーお気に入りの野趣に満ちた食べ方である。
空洞地球の特産品(All Hollow Though You Be)
空洞地球の野牛はまぬけな動物で、たいてい最期は崖から落っこちて死んでしまう。そんな時、地球内部の重力はそいつをさっと引っ捕らえて、別の岸壁にぶつかるまでに時には何百マイルも落っこちる。総ての骨は砕け散って骨髄が肉に混じり込み、肉の線維質もばらばらになって、柔らかでとっても美味しい特産品のできあがり。そして、でっかく育った空洞地球のマッシュルーム(大きなのは10トンもある)も他では味わえない珍味だ。
ラモスでの大いなる朝食(Space Chantey)
巨人の星ラモスでふるまわれる大いなる朝食は豪快である。まずは雄牛の丸焼きの下ごしらえだが、額の角を引き抜き、開いた穴から指をつっこんでべろりと頭の皮を剥ぐ。お次は蹄を引っこ抜いて、ぺろぺろと皮を剥いでゆき、一気に腹までめくりあげる。後ろにまわって肩まで剥いで、すぽんと裸の雄牛のできあがり。大串に刺して、炙り焼く。割り当てはもちろん、まずはひとりにまるまる一頭づつである。付け合わせは直径が人の背丈よりも大きいオートケーキ、頭よりでっかいタマネギ、馬が入るような大樽いっぱいの蜂蜜酒、洞窟の壁にある栓を抜けばとめどもなく噴出する黒ビール。おまけに、見事な雄豚が一頭づつ詰まったポーク・パイ。追加注文で、狐、雄羊、ビーバー、狼、クサネズミを詰めた鷲の丸焼きなどなど。