作者紹介



 リサ・タトル(Lisa Tuttle)は1952年生まれ。アメリカはテキサス州ヒューストン生まれだが、'80からはイギリス在住。('81にクリストファー・プリーストと結婚し、'87に離婚したもののそのままずっとイギリスを中心に生活している。)オースティンで5年間、日刊紙(Austin American-Statesman)の新聞記者歴がありテレビ欄などを担当、退職後はフリーランスの作家業に入った。クラリオンのSFワークショップでは早期からのメンバーとして知られ、'71にロビン・スコット・ウィルソン編"Clarion II"掲載の短編"Stranger in the House"にてデビューしたが(当時はニューヨークはシラキュース大学生で弱冠19歳、'73に文学士号を取得)、編者のコメントを引用すれば、「リサ・タトルは可愛い若い娘で、小さな妖精みたいだ。あまりにも無垢で、とうていホラーを扱うなんて考えられない。でも、その見た目に裏切られてしまうんだ。」クラリオン・ワークショップのアイドル的存在だったリサを彷彿させるコメントだが、同時に何とも居心地と後味の悪いホラー短編を特徴とする彼女の特性が最初から顕れていたことも感じ取れる。'74には最優秀新人賞たるジョン・W・キャンベル賞を受賞した。処女長編は'75からAnalog誌にて開始された連作で、ジョージ・R・R・マーティンとの合作"翼人の掟"(Windhaven)として'81に出版され好評を博した。その他の長編は、ダーク・ファンタジーとホラー領域での作品が多い。また、'81には"The Bone Flute"にてネビュラ賞を辞退している。女性作家によるホラー作品集"Skin of the Soul"の編集、フェミニズム事典の編纂、インタビュー等で構成された"ヒロイン"像を探る著作"Heroines"等、女性論〜フェミニズム関連の活動も活溌である。また、絵本等の児童書や、イラスト集への寄稿等、様々な分野での著作も多い。2001年に出版された"Windhaven"再刊では、スコットランド西海岸の辺鄙な田舎で夫と娘と暮らしており、そこの気候や風景はWindhavenにそっくりだそうな。

 ネビュラ賞辞退の経緯についてだが、ネットでいろいろ検索してみると、どうもノミネートされていることを知らされておらず、気がついてノミネート辞退の手紙を書くも投票までに到着しなかったため、受賞してしまったらしい。Ansible 25, April 1982によれば、「ネビュラ賞は茶番だ」との見解を述べているようだ。(この年のネビュラ短編部門については、他の候補者による投票キャンペーンが騒動を巻き起こしたらしい。それに対するリサのコメントを含め、興味ある方は上記のAnsibleの該当ページをご覧下さい)。

 充実したファン・サイトThe Works of Lisa Tuttleはドイツ発。短編"Meeting the Muse"(長篇The Pillow Friendの第四章を少し改変した作品)も読めます。




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